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番組ブログ

2023.03.11(土)2023年3月11日(土)「郡山市 日本大学工学部土木工学科 中野和典教授②」

きょう、3月11日で東日本大震災・原発事故から12年を迎えました。災害が起きたらどうするか、防災について考える機会でもあります。
そこで、今回も水を一滴も無駄にしない“ロハスのトイレ”を研究開発されている、日本大学 工学部土木工学科(郡山市)中野和典(なかの かずのり)教授に伺いました。

Q今週も郡山市にある日本大学工学部があるキャンパスからお伝えします。キャンパス内にロハス工学を用いて作られたトイレがありまして、トイレの前で伺っていきます。私たちが普段使っているようなトイレと変わりが無いようにみえますね!

中野教授)はい、仮設トイレの横に白い箱がありますね。これが今までと違うところです。

Q白い箱の中にキッチンペーパーの様なロール状の紙が入っていて、その上には粒々が入った箱があります。これが他のトイレと大きく違う部分なんですか??

中野教授)はい、この仮設トイレを使うと水が流れて、流れたものがこのキッチンペーパーのように見える不織布の布を通ると、水がろ過される仕組みになっています。不織布の上には汚物やトイレットペーパーなどの固形物だけが残って、水は5秒で通り抜ける仕組みです。

Q大勢の方が使っても、問題なくろ過されていくのですか?

中野教授)はい、ろ過も5秒で出来ます。実はこの布は、一回使う毎に巻き取る仕組みになっていて、永遠に詰まる事はありません。100回分巻き取れるロールなので、トイレをするごとに巻き取る必要はありますが、1日に100人利用しようが300人であろうが、問題なくろ過することができるんです。それから箱の中にある粒々は、前回お話した金魚の水槽の水と同じような、見ても不快にならないようにきれいな水、再生水を作る仕組みになっています。

Q実際に県内では、このロハスのトイレは利用されているのでしょうか?

中野教授)実は一台だけ、飯舘村に2015年に作った一号機が置いてあって地元の方に使っていただいていますが、それ以外はこの大学内にしかまだ無いです。

Qキャンパス内にはロハストイレが2基あって、きちんと利用されているんですか?

中野教授)はい、トイレを使ってもらわないと研究になりませんので、研究室のメンバーが主体になって毎日使って浄化できることを実証しています。
 
Q東日本大震災から、きょう3月11日で12年となります。震災当時、中野教授は宮城県にいらっしゃったそうですね。被災されたことが、ロハストイレを作るきっかけにもなったそうですね。

中野教授)仙台市にいました。大きな地震が起きて避難所に行くとどうなるのか、身を持って感じました。避難上に行くと、非常食や非常用の水が用意されていて、それを飲んだり食べたりすると私たちはトイレに行きたくなります。ただ、トイレはそんなに万全ではなく、水が流れないと前の人がした汚物が残ってしまい、それが続くと想像が絶するトイレになってします。そういうトイレを経験すると、今度は用意されている食べ物を食べたくなくなるんですよね。そうやって避難所で持病が悪化したり、震災で助かった命が避難所で体調が悪化して亡くなってしまうという方もいます。そういうことを目の当たりにしました。

Q実体験がきっかけになって、ロハスの研究を始められたのですね!そして、2年前にロハスのトイレを商品化するための会社を立ち上げられました。どういった企業なのでしょうか?

中野教授)「e6s(エシックス)」という会社です。数字の6は、SDGs(エス・ディー・ジーズ)の6番目の目標“世界中に安全な水とトイレを”を達成できるようにという想いで付けました。“e”はエコロジー、環境に優しいという意味。“s”はサステナブル。e6sというシステムを水洗トイレに付けることで、あらゆるトイレが断水しても使い続けられる水洗トイレになるように。そのような想いで名付けています。

Q実際に商品化されまして、具体的にこれからどうされる予定ですか?

中野教授)まずは、災害の時に皆さんが避難される避難所などにe6sのトイレが備えられているといいと思います。水や電気が無くても動くトイレというのは、世界中の3人に1人が、インフラが無くて水洗トイレが使えない生活を送っている。これから大きな震災が来ると予測されているので、その備えに貢献できるように日本で社会技術として証明していき、その次は世界中のトイレの問題を解決していきたいと思います。


私達が毎日何気なく使っている水洗トイレですが、世界では水洗トイレが使えない人もいるということを忘れてはいけません。そして、どんな時でも皆が水洗トイレを使えるようになるように、まずはロハスのトイレが日本で使われるようになって、その技術が認められ、世界の色々な場所でロハスのトイレが活用されることを願っております。

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