前回に引き続き、県内のプロバスケットボールチーム・福島ファイヤーボンズの試合で 子ども食堂へ送る食料を募る取り組み「BEYOND16(ビヨンドシックスティーン)」をご紹介しました。
最初この取り組みを提案されたのが、福島ファイヤーボンズで活躍中の橋本尚明(はしもと なおあき)選手です。(BEYOND16の“16”は、橋本選手の背番号16から付けられました。)
どんな想いでプロジェクトを立ち上げられたのか、橋本選手に伺いました。
Qこの取り組みは、橋本選手が提案されたと伺っています。どんな思いで始められたのですか?
橋本選手)兄と“自分たちに何が出来るのか?”と話し合っている時期がありました。そんな時に福島ファイヤーボンズのスポンサーである「Juice Stand(ジューススタンド)MG」さんと繋がりがあって紹介いただきました。それまで、子ども食堂について知らなかったんですよ。BEYOND16として、社会貢献と地域の活性化というのを目標に掲げている中で、アスリートである僕が福島に何が出来るのかということを考えて、フードドライブ、子ども食糧支援にたどり着きました。
Q 橋本選手は福島ご出身ではなく、愛媛県出身ですよね。なぜそこまで福島への想いが強いのでしょうか?
橋本選手)福島に移籍したのがきっかけで、初めて東北にきました。僕は以前、島根スサノオマジックというBリーグ一部のチームでプレーしていました。その時に足首を骨折してバスケが出来ない状況になってしまい、契約を解除されてしまいました。チームを探している状態で、ケガしている人を取ることはリスクが高いのですが、それでも福島ファイヤーボンズは自分の事をオファーしてくれました。なので、チームに救われたという気持ちで全力を注ぎたいという気持ちでやってきました。
Qそういった気持ちがプレーにも出ていますね!得点を決めて貢献されています。
橋本選手)そうですね、気持ちを見せることが大事だと思うので…!
Q BEYOND16の取り組みが、2023年1月のホーム戦で行われました。当日のフードドライブはいかがでしたか?
橋本選手)正直あそこまで食料が集まるとは思っていませんでした。フードドライブが終わってから一個一個物資を見ていたのですが、めちゃくちゃ大きいお米を持ってきてくださった方がいて、福島県の人って優しいんだなって思いました。やって良かったと思える瞬間でした。
Q今回プロスポーツの会場でのフードドライブは、初めての開催となりました。チームの皆さんの反応はいかがでしたか?
橋本選手)最初は「何するの~?」という人が多かったんですが、子ども食堂の食料支援について皆に呼び掛けていってら、「今度僕も物資を提供します!」という人も出てくるようになりました。それと、この日は熊本ボルターズとの試合だったのですが、熊本ボルターズの田渡凌(たわたりりょう)選手が個人的に物資を支援してくれて有難かったです。
Q今後、どんな風にBEYOND16の活動を広げていきたいですか?
橋本選手)始まったばかりなので、もっともっと地域活性化や地域貢献のために、アスリートとして情報発信していけたらと思います。
「BEYOND16」の取り組みについて興味があるという方は、ぜひ公式HPを覗いてみてください。
Beyond16

「BEYOND16」で集まった食料の寄贈先である、「福島子ども食堂NET」代表の江藤 大裕(えとう だいすけ)さんにもお話を伺いました。
Q福島子ども食堂NETは、普段どんな活動をされているのでしょうか。
江藤さん)2020年6月に結成し、最初は11団体から始まって、今は37団体が加盟してもらっています。ネットワークを使った子ども食堂の支援、食材支援、立ち上げ支援などを行っています。
Q江藤さんは、先日福島ファイヤーボンズのホーム戦で行われたフードドライブに立ち会われました。当日の様子がいかがでしたか?
江藤さん)ボンズのファンのお子さんが食料を持ってきてくれました。「家にある食材を試合前に持ってきたので試合前に使ってください!」と言ってくださって、非常にありがたく感じました。
Q 2日間でどのくらいの量が集まったのでしょうか?
江藤さん)2日間で160キロもの食料、コンテナでいうと8箱分集まりまして、過去最大量の食料が集まりました!お米も沢山いただき、今までで一番食材が集まりました!
Q BEYOND16の活動にして、最初話をいただいた時どんな気持ちになりましたか?
江藤さん)プロスポーツチームと一緒に活動したことがこれまで無かったので、最初はどういう風になっていくかとか、ファンの方がどれくらい子ども食堂を認知して頂いているのかが分からない部分もありました。その反面、子ども食堂に注目していただけるのは、大変ありがたいと思いました。
Qやっぱりスポーツの力は大きいんですね!
江藤さん)大きいです!この集まった食料の量160キロという数字を見ても分かる通り、スポーツは夢を与えるだけじゃなくて、ファンの方々の力が結集すると沢山の食料も集まって…!スポーツの力を改めて実感しました。
Q今、子ども食堂ではどれくらいの食料を必要としているのでしょうか?
江藤さん)コロナ禍以降、子ども食堂のあり方が変わりまして、今までご飯を一緒に食べられていたものが運営的にも難しくなりました。そこで、必要としている家庭に食料を届けに行ったり、子ども食堂の会場で食材を配ったりと、新たな子ども食堂のカタチを作り出しています。ただ、子ども食堂の運営基盤は脆弱で皆さんの支援物資で賄っているものなので、こういった食材はあるに越したことがないというか、沢山ご支援いただけると有難いです。
Q今回集まった物資は、どのように必要とされている皆さんに行き渡るのでしょうか?
江藤さん)届けていただいた物資は、福島市内の加盟している37団体から、必要とされているところにお配りいたします。また、子ども食堂で調理して使ったり必要な方に食材を配布したりと、様々な使い道をさせていただこうと考えております。
Q今回、初めて県内のプロスポーツ会場でフードドライブが行われました。江藤さんは今後にどんな期待を寄せていますか?
江藤さん)スポ―ツの力って凄いなと感じところではありますが、子ども食堂の認知度はまだまだ低いため、まずは子ども食堂を知っていただくところから始めてもらいたいです。一人一人が地域の為に何が出来るか考えながら、スポーツ界と一緒に盛り上がっていけたら有難いと思っております。
BEYOND16の取り組みを機に、これからどんどん県内のスポーツ界でも支援の輪が広がっていきそうです!