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2018.10.12(金)民間救急車 始動 北九州で来月、全国初の実証実験

救急車の代替搬送手段として「民間救急車」の普及に向けた総務省消防庁の実証実験が、全国で初めて北九州市八幡東区・八幡西区で11、12月に実施される。民間救急車は国がタクシー業者などを認定する形で制度化されているが実験では救急救命士が同乗し、無料で実施する。緊急性の低い患者が119番するケースが全国的に問題となっていることが背景にあり、軽症者などを受け入れ、救急車の適正使用につなげる狙い。

軽症者が対象/搬送適正化を促進

「緩やかな救急搬送システム」と名づけた実験は、医師や大学、行政関係者による研究班(班長=伊藤重彦・市立八幡病院副院長)に消防庁が委託。八幡病院内に資機材を積んだ搬送車1台を待機させ、研究班と契約した医療関連の民間事業所の救急救命士1人と運転手が、平日午前9時~午後6時に対応する。サイレンを鳴らしての緊急走行はできない。

利用は医師や介護施設を通じて受け付ける。発熱や吐き気などの軽い症状や慢性疾患の症状がある人から相談を受けたかかりつけ医が判断し、民間業者に連絡し搬送先や送迎の日時を指定する。独居の高齢者や老老介護などで受診手段に困っている患者を受け持つ医師や、介護施設からの搬送依頼も受ける。実験期間中の利用は無料。

また、医療機関が所有する「病院救急車」を搬送手段として使う厚生労働省の研究事業も併せて実施する。転院搬送での走行を想定し、市内と近郊の3病院の車を使う。同省は来年度以降、積極的に病院救急車の活用に取り組む方針だ。

民間救急車、病院救急車とも病状変化に備え、救急医や消防機関などで作る「地域メディカルコントロール(MC)協議会」が講習などで認めた救急救命士が同乗。通常の救急車に乗る救命士に比べ救急処置の内容は制限されるが、搬送中に酸素吸入などが必要になったら、地域MCの医師と連絡を取り指導・助言を受ける。

民間救急車は1989年、消防庁が民間の事業所活用のため導入した。国交省の認可と自治体の消防本部の「患者等搬送事業者」認定を受けたタクシー業者などが運営しており、東京消防庁は2005年から「東京民間救急コールセンター」を本格運用し24時間体制で案内している。救急現場の負担解消が期待される一方、有料であることや安全性への不安などから、全国的には浸透していない。伊藤班長は「まずはきちんとした選択肢を用意することで、代替搬送の道筋を探りたい」と話している。【長谷川容子】

救急救命士、どう活用するか

実験の主目的は二つある。一つは、軽症者による消防救急車の利用を減らしていくこと。もう一つは、救急救命士という国家資格保持者の活用だ。

消防庁の2017年の速報値では、救急車の出動件数は約634万件。8年連続で過去最多を更新したが、搬送人員の48・5%は入院を必要としない「軽症」だった。

また、搬送された約6割は高齢者。介護施設の寝たきりの入所者がインフルエンザを発症した場合など、救急車以外の搬送手段がなく119番する例が少なくないという。病状変化にも対応できるよう医療的な安心を担保した選択肢を増やすことが、救急車の適正利用につながるとみる。

一方、今年8月末時点で救急救命士は5万8000人を超えたが、約4割は消防機関に属していない。各自治体の消防職員採用枠には限りがあり、新たなマンパワーとして活用し、救急医療現場の負担軽減も目指したい考えだ。【長谷川容子】

<毎日新聞>
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